ARTICLE2
視線分析で学ぶ重機操作の極意②:なぜ左端ばかり見ている?
ARTICLE1でも触れたように、掘削作業において、オペレーターは必ずしも合図者を直接見ているわけではありません。合図者は、あくまで補助的な「セーフティネット」として位置づけられております。
下記の注視点ヒートマップを比較してみましょう。
一見条件が異なるように見えますが、視線の集中する位置には共通点があります。
似ている点が見つかるでしょうか?

左:掘削深度が浅い
右:掘削深度が深い
下の「答え」ボタンを押すと、答えが見えます。
⇩
答えいずれも左側の掘削エリアに視線が偏っています


左側に何があるの?
オペレーター室とバケットの位置関係に注目してみましょう。
オペレーター室から見て右側からブーム・アーム・バケットが伸びていることがわかります。言い換えると掘削箇所をオペレーター室から見る際、必ず右側の視野にはアームやバケットが入るため、必然的に右側の視野は制限されていた状態になります。オペレーターは掘削深度や制度を測るために掘削孔の「縁」を良く見ていますが、このオペレーターは左側を中心に深さや物の位置を決めるタイプであるということが分かります。
もちろん、左側の縁を見ながら掘削を行うことが唯一の方法ではなく、別の熟練オペレーターの分析では左側に注視箇所が集中しないこともわかっており、あくまでも今回の被験者が左側を中心に考えるタイプであったというだけです。
まとめ
いずれにせよ、掘削作業において絶対的な正解や間違いはなく、個人それぞれにこだわりがあります。また、重機の大きさや仕様が異なる場合にはまた違う結果となります。 重要なのは当然高品質で安全な現場遂行であり、そのためのプロセスやコツはひとそれぞれで、自分に合った技法を模索することが上達への近道です。科学的な技能の分析を通じて、その選択肢を提示できれば良いと思っています。